これからの季節から旬を迎える和菓子に、くず餅・葛きり・ くず桜・水饅頭・くず饅頭などが各地の店頭に並びます。 これらの原材料が「葛(澱粉)」です。 澱粉の原料は、葛・わらび・カタクリ・馬鈴薯(じゃが芋)・ 甘藷(さつま芋)・コーン(とうもろこし)・タピオカ・小麦粉・ 米・豆類等が原料です。 今回は、葛粉・わらび粉・カタクリ粉を調べてみました。 - 写真 : く ず 桜 - |
でんぷん質の代表で使用量が多いのが、小麦粉・とうもろこし(コーン)・米・雑穀類
(小豆・手亡・白花・金時等)等です。
「澱粉」としては、馬鈴薯澱粉(じゃが芋)・甘藷澱粉(さつま芋)・コーンスターチ・
タピオカ澱粉等、そして今回のテーマの葛粉・わらび粉・片栗粉等です。
でん粉とは植物が太陽エネルギー・水・二酸化炭素から作り出す炭水化物(多糖)です。
小麦・米・コーン等は種子に、馬鈴薯・甘藷・葛・わらび・カタクリなどは根茎に多く
蓄積され、澱粉質を精製して白い粉状にしたものです。
【カタクリ】 片栗粉は、ユリ科の多年草カタクリ(片栗)の根から 得られるデンプンを精製粉としたものです。 早春、二葉の楕円形で厚い葉を開き、紫斑が有る。 葉にやや後れて長い花茎の先に紫紅色のユリに似た 花を一個下向きにつける。 高さは15㎝位です。 - 写真 : カタクリの花 - |
【片栗粉】 カタクリから取った本来の片栗粉の生産量はごくわずかで、希少価値があり非常に高価です。 現在市場に出回っている片栗粉は、大半は馬鈴薯から出来ています。 でん粉は水を含み加熱によって糊化する事から、和菓子 原料でなく、和食・中華等の「とろみ」に使われます。 - 写真 : 片栗粉 - |
別れます、下に沈んでいるのがデンプンです。
デンプンは漢字で書くと澱粉、「沈殿した粉」と言う意味です。
【葛粉】 デンプン質が根に集まる冬が採集の適期で、掘り出した 根を繊維状に粉砕し真水で洗い、その絞り汁をためて アク抜きと沈殿を数回繰り返し、不純物を取り除き最終的に 良質なデンプン部分だけを取り出し日陰干しで乾燥させて製品とする。 本葛は美しい白色で、1㎏の葛根から最終製品として出来上がる 葛粉はおよそ100gと言われます。 - 写真 : 葛粉と葛の根 - |
若狭葛などが有名です。
本葛粉は葛澱粉100%の商品で、甘藷澱粉と混合された葛粉の原料も有ります。
【薬用としての葛】
葛の根を板状かサイコロ状にし、天日で乾燥させた物を「葛根(カッコン)」と呼びます。
葛根は生薬の主原料として昔から幅広く使用されており、発汗・解熱・鎮痙作用が
あると言われています。
風邪薬として有名な「葛根湯」には、この「葛根」が用いられています。
【わらび】 シダ植物の1種で、コバノイシカグマ科に属し、草原・ 谷地・原野など日当たりの良いところに群生している。 代表的な山菜の一つですが、毒性が強く生のままでは 食用にできない為、灰汁抜き(アク抜き)が必要です。 木灰・重曹を含む熱湯でのアク抜き、塩漬け等です。 - 写真 : 山菜のわらび - |
【わらび粉】 茎は地下を横に這いよく伸びる、この根茎から取れる 澱粉が「わらび粉」です。 根を掘り起し、叩いて・ほぐして・何度も洗ってデンプンを 取出しますが、葛粉に比べより手間がかかり、100%の わらび粉になるまで半月程も必要です。 - 写真 : わらび粉 - |
澱粉の精製法がなかった時代は、人々は根を噛んで澱粉を食べていた様です。
におい・アクが強かったりと、食物と呼べる程ではない様でした。
葛根・わらび・片栗・ユリなどは、茎・根等を原料とした飢饉の非常食だった様です。
貧しい農家の民が、澱粉が取れる芋のかわりにわらび粉・葛粉などを原料にお餅を
作って食べたのだそうです。
今では、本葛・本わらび粉・片栗粉などは希少価値の高い和菓子の原料です。
資料 : ウィキペディア: 葛 ・ わらび カタクリ ・ 澱粉
天極堂 ・ ていすぴ~ ・ (株)廣久葛本舗 「葛根の画像」
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